何年も前にシリーズの途中まで読んで、そのままになっていた本がありました。ふと懐かしくなって手に取り直した桜庭一樹「GOSICK」。架空の国ソヴュールを舞台に、留学生とお人形のように美しい少女が謎に挑む物語に、あらためて夢中になりました。
基本情報
- 著者名:桜庭一樹
- ジャンル:時代小説・ミステリ
- 時代・舞台:第一次世界大戦後のヨーロッパ・架空の小国ソヴュール
登場人物
- ヴィクトリカ:聖マルグリット学園の図書館塔最上階に暮らす、謎に包まれた少女。人形のように整った容姿と並外れた頭脳の持ち主。
- 久城一弥:極東の島国から聖マルグリット学園に留学してきた少年。ヴィクトリカの相棒として物語を動かしていく。
- ブロワ警部:特徴的なヘアスタイルが印象的な警部。
- アブリル:一弥の学園生活を彩る、怪談話を好む個性的なクラスメート。
あらすじ
第一次世界大戦から十年、ヨーロッパの小国ソヴュールにある聖マルグリット学園。極東の島国から留学してきた久城一弥は、学園の図書館塔最上階にある秘密の部屋で、大量の書物に囲まれて暮らす少女ヴィクトリカと出会う。人形のように整った容姿と並外れた知性を持つ彼女は、めったに部屋の外に出ようとしない。しかし一弥がふと持ち込んだ小さな謎をきっかけに、二人はやがて学園の外で起きる不思議な事件にも関わっていくことになる。
おすすめポイント
ソヴュールという架空の国でありながら、第一次世界大戦後十年という時代背景が緻密に作り込まれており、なんでもありのファンタジー世界とは一線を画すリアリティがあります。史実に裏打ちされた重厚な空気感が、物語全体に説得力を与えています。
主役の二人はもちろん、特徴的な警部や怪談好きの同級生など、脇を固める人物たちも一癖も二癖もある魅力に溢れています。
モノローグと現在の場面が交錯しながら進む構成によって、随所に伏線がちらりと顔をのぞかせます。読み進めるたびに小さな「あれ?」が積み重なっていく感覚が、ページをめくる手を止めさせません。
本モスの感想
何年も前にシリーズの途中まで読んで、そのままになっていた「GOSICK」。ふと懐かしくなって手に取り直したのですが、やっぱり面白いものは何度読んでも面白いですね。ソヴュールという架空の国の作り込みには、今読み返しても唸らされました。近頃の「なんでもあり」な異世界設定と違って、第一次世界大戦後の欧州という骨格がしっかりしているからこそ、物語の緊張感も引き立つのだと思います。ヴィクトリカと一弥、二人のやり取りの温度感も心地よくて、気づけば図書館塔の秘密の部屋に一緒に座っている気分になりました。ブロワ警部や怪談好きの同級生といった脇役たちも、それぞれちゃんと存在感があって飽きさせません。

再読でこれだけ楽しめたのだから、この先のシリーズもまた読み返してみようかなと、静かに心が動いています。
こんな方におすすめ
- 架空世界でも骨太な時代背景のあるミステリが好きな方
- 個性的なコンビの掛け合いを楽しみたい方
- 学園を舞台にしたダークで知的な物語に興味がある方


コメント