前作でヴェルサイユ宮の事件を鮮やかに解決したあの公妃が、今度は孤島の修道院へ。血と信仰が交錯する舞台に、また一冊やられました。
基本情報
- 著者名:宮園ありあ
- ジャンル:時代小説・ミステリ
- 時代・舞台:18世紀・フランス(ロワール河畔の孤島修道院)
登場人物
- パンティエーヴル公妃マリー=アメリー:ナポリ出身の王族で、国王ルイ16世の従妹にあたる未亡人。前作の事件を解決した名探偵。
- ジャン=ジャック・ルイ・ド・ボーフランシュ:フランス陸軍大尉。パリ王立士官学校の教官を務め、マリーの相棒として捜査に加わる。
- ジョルジュ・ランベール:パリ警察の捜査官で、ボーフランシュ大尉の友人。
あらすじ
1783年10月。ヴェルサイユ宮の事件で時の人となったマリー=アメリーのもとに、女子修道院長から助けを求める手紙が届く。相棒のボーフランシュ大尉とともにロワール川の孤島に建つ元城塞の女子修道院へ向かうが、男子禁制ゆえ大尉だけは島から追い返されてしまう。その直後、仔羊を抱いた見習い修道女の死体が発見され、血と呪いに彩られた連続怪死事件の幕が上がる。異色バディが活躍するシリーズ第2弾。
おすすめポイント
大雨で外界から切り離された孤島の修道院という舞台設定がまず秀逸です。逃げ場のない空間で連続する怪死事件という、時代小説とミステリの両方の醍醐味が同時に味わえます。
宗教戦争や異端審問といった歴史の暗部が事件の背景に深く食い込んでおり、単なる謎解きにとどまらない読み応えがあります。宗教という特殊な条件がミステリの骨格そのものに関わってくる構成は、この時代・舞台ならではの味わいです。
島に閉じ込められたマリーを案じるボーフランシュ大尉の焦りや、とある方法でしか連絡が取れないもどかしさなど、事件の謎解きと並行して育っていく二人の関係にも目が離せません。
本モスの感想
信仰とは何なのかと考えさせられる一冊でした。舞台は前作のパリ・ヴェルサイユから、ロワール河畔の孤島修道院へ。大雨で孤立した島で巻き起こる連続猟奇殺人事件はもちろんのこと、閉じ込められたマリーを心配するボーフランシュ大尉の焦りに、じわじわとラブを感じずにはいられませんでした。とある方法でしか連絡を取り合えないというアナログな緊張感もたまりません。
事件の背景には宗教戦争や異端審問という歴史の暗部が横たわっていて、猟奇性のあるミステリであると同時に、時代の重さをずしりと感じる読書体験になりました。

八百万の神様がいる日本を舞台にしたミステリとはまた違う、信仰そのものが謎の核になる作りに唸らされます。読み終えてから表紙をもう一度眺めると、納得感が倍増するのもたまらないポイント。革命の気配が近づく中、主役二人の恋の行方も含めて、次作が待ち遠しいシリーズです。
こんな方におすすめ
- 孤島や修道院などの閉鎖空間ミステリが好きな方
- 宗教史・異端審問など歴史の暗部に興味がある方
- 異色バディものの時代小説が好きな方
よくある質問(FAQ)
Q. 「異端の聖女に捧げる鎮魂歌」はシリーズものですか?
A. はい。前作「ヴェルサイユ宮の聖殺人」に続くシリーズ第2弾で、主人公コンビは共通しています。
Q. 前作から読んだ方がいいですか?
A. 単体でも楽しめますが、二人の関係性の深まりを味わうなら前作から読むのがおすすめです。



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