普段はあまり手に取らない恋愛小説ですが、読んだ中には心に深く刻まれて、ふとした瞬間に「もう一度読みたい」と思わせてくれる作品があります。そんな忘れられない恋物語を、この記事では随時ご紹介していきます。
雨鱒の川/川上健一
学もお金もないけれど、絵の才能に恵まれた青年。耳が聴こえない少女。
不思議なことに、少女の言葉だけは青年にだけ届きます。
幼い頃から共に育った二人は、静かに想いを育んでいきますが、ある日、少女に縁談の話が持ち上がり……。
東北の澄んだ空気と川の流れを背景に、幼なじみ二人の純粋な心を描いた初恋小説です。
- 心平・・・川で魚を捕ることと絵を描くことにしか興味がない。母を亡くし天涯孤独となる。
- 小百合・・・造り酒屋の一人娘。耳が聴こえないが、心平とだけは心が通い合う。

おそらく10年ほど前に読んだ本。ふいに読みたくなって再読しました。とにかく東北の方言(半分もわからない)と川や自然の描写が瑞々しい。恋愛小説はあまり読まないけれど、とにかく清々しい気持ちになりたいときに読みたい本です。
トワイライト/ステファニー・メイヤー
女子高生のベラは、母親の再婚を機に、長年疎遠だった父親と暮らすため田舎町へ引っ越します。転校先の学校で目を奪われたのは、どこか近寄りがたい雰囲気を持つ美しい青年エドワード。なぜか避けられているように感じて戸惑うベラでしたが、ある日命の危機に陥った彼女を救ったのは、まさにそのエドワードでした。世界的に大ヒットした映画の原作小説です。
- イザベラ・スワン(ベラ)・・・運動神経ゼロの女子高生。人付き合いが苦手。
- エドワード・カレン・・・ミステリアスな美しい青年。なぜかベラを避ける。
- ジェイコブ・ブラック・・・郊外にあるインディアン居留地の青年。

2006年頃、書店で偶然手に取った一冊です。ベラの視点でエドワードの秘密に少しずつ迫っていく緊張感や、危険に巻き込まれる彼女を颯爽と救うエドワードの姿に、夢中でページをめくってしまいました。その後映画化もされて世界的な大ヒットとなりましたが、原作小説ならではの心理描写の繊細さも味わえるので、ぜひ両方楽しんでほしい作品です。

残念ながら出版社の事業終了に伴い、新刊の販売が終了しています。英語に自信のある方は英語の勉強を兼ねて洋書にチャレンジしてもよいかもしれません。
運命のモントフォード家シリーズ/キャンディス・キャンプ
アメリカで貿易会社を切り盛りするアレクサンドラは、取引のために訪れたロンドンで、魅力的な実業家ソープ卿に誘われ舞踏会に出席します。そこで紹介された高貴な伯爵夫人は、アレクサンドラを一目見るなり「シモーヌ!」と叫び、その場で気を失ってしまうのです。
フランス革命のさなかに生き別れとなった3兄妹。時を経て、失われた過去と運命の再会が動き出す――。ロマンス小説の巨匠が贈る、壮大なヒストリカル・ロマンスシリーズの第一作です。

難しいことは考えず、純粋にエンタメとして楽しめる作品です。フランス革命で生き別れた兄妹、運命の再会、隠された秘密――ロマンス好きにはたまらない要素がぎっしり詰まっています。三部作を通してすべての伏線が見事に回収され、読後は爽快感でいっぱいになりました。個人的には三作目が一番好きです。
放課後の音符(キイノート)/山田詠美
放課後が大好きな少女たちが大人になるための恋愛小説8編。「私、彼に対して子供の手段を使いたくないの」とカナ。南の島の思い出を、ジントニックを飲みながら涙を流して喋ってくれたマリ。素敵な周囲の恋物語を眺めながら、少しずつ恋の勉強をしていく”わたし”の物語。

大学生の頃に初めて読んでから、もう何度目かわからないくらい読み返していますが、読むたびに切なくなる素敵な物語です。登場する女の子たちは、「自分で考える」ことを通じて少しずつ成長し、素敵な大人へと近づいていきます。きっと、考えることをやめてしまった人が「子ども大人」になってしまうんだろうな、と思わされます。久しぶりに手に取ったら、懐かしさと切なさが一度に押し寄せてきました。少女向けの物語ですが、いい年をした大人こそ読む価値がある一冊だと思います。
あしながおじさん/J・ウェブスター
お茶目で愛すべき孤児ジルーシャに突然すてきな幸福が訪れました。名を名乗らない裕福な紳士が、奨学金を出して彼女を大学に通わせてくれるというのです。ただし条件がひとつ。毎月、手紙を書いて送ること。彼女は名を明かさないその紳士を「あしながおじさん」と名づけ、日常の出来事をユーモアあふれる挿絵入りの手紙にして送り続けるのですが・・・。あしながおじさんの正体は?

女の子なら誰しも憧れるシンデレラストーリー。大人になって読み返すと、作品自体がジルーシャから「あしながおじさん」への手紙になっていることの絶妙さがしみじみと実感できます。ユーモアあり、切なさあり、最後の一文でときめきがとまらなくなる――永遠の名作です。舞台やアニメなどにもなっている作品ですが、ぜひ小説ならではの素晴らしさを堪能したい作品です。


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