森博嗣の考え方に触れたくて買いました。巷にあふれる「拘る」ことはいいことだとする風潮に一石を投じる一冊です。
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「拘る」ことはいいことか
「拘る」について、「拘りの一品」「人生の拘り」など、なんだか素晴らしいことのように捉えられがちですが、「拘る」ことはその手法や事物に拘泥し、考えることを放棄している状態だと著者は言います。
この省エネの精神こそが、「拘り」の本質だろう。拘ることで、その後の思考、判断、評価、観察など、諸々の作業を省くことができる。これは解放感に似た陶酔をもたらすだろう。一度「これだ」と決めてしまえば、それに拘り続けるかぎり、ほかのものに注意を向ける必要がない。
「なにものにもこだわらない」森博嗣 2020年 p40
「拘らない」とはどういうことか
「拘ること」が考えないことならば、「拘らないこと」は考えること。「忘れること」に近いのです。これまでの成功体験や既成概念、人間関係や社会の柵を一旦なかったものとして忘れる。その上でエネルギーを消費して何が最善なのかを考えることに価値があるのです。
まとめ
それでは「なにものにも拘らない」とはどのような状態を指すのでしょうか。また、「なにものにも拘らない」とはどのような生き方なのでしょうか。
本書では、「生」や「健康」、「生きがい」「得意」など様々な「拘り」を持つことへの危うさが指摘されます。そして最後には「自分への拘り」について言及されます。
いつものように森博嗣さんの本では、この考え方が正解ですとは書かれていません。僕はこう考えますと述べられるだけです。具体的に明日からこうしなさいとは示されるハウツー本ではありませんし、ハウツーを知ることに意味はないと、この本を読めばわかります。しかしながら、こういう考え方もあるのだと、頭の裾野を広げることができるおすすめの一冊です。
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