2025年11月の読書記録/秋の終わりに心を満たす本たち

今月の棚

秋も深まり、夜が長く感じるようになった11月。
読書にはぴったりの季節で、今月もページをめくる手が止まりませんでした。
しっとりと心に残る物語から、思わず胸が熱くなる一冊まで。
静かな時間に寄り添ってくれた本たちをご紹介します。

読めば100倍歴史が面白くなる 名将言行録/板野博行

「名将言行録」とは幕末の舘林藩士岡谷繁実が一六年の歳月をかけて完成させたもの。明治二年に刊行され、伊藤博文を感動させ、大隈重信に「不朽の真理を含蓄した書」と言われ、版を重ねました。戦国から江戸中期までの武士百九十二人の言行(逸話)を書き記した全七十巻の大作で、すべてを現代語訳したものはないそうです。本書はそのうち二十五人分のエッセンスを凝縮して紹介してくれています。

興味を持った武将
  • 蒲生氏郷・・・人質として差し出されたにもかかわらず、織田信長に才能を見抜かれる。元服の際には信長自ら烏帽子親になり、娘と結婚させた。
  • 島津義久・・・優秀な弟三人を率いて九州統一を目指した
  • 福島正則・・・敵に後ろは見せたくない「猪武者」
本モス
本モス

信長、秀吉、家康の三英傑はもちろんすごいのですが、それ以外の知らなかった武将に興味を持てました。この本でさらっと俯瞰して、気になった武将の歴史小説を読むと面白そうです。
また、この「名将言行録」をあの伊藤博文や大隈重信も読んで感動していたと思うと、感慨深いものがあります

眠れないほどおもしろい信長公記/板野博行

「信長公記」は、信長の側近だった太田牛一が記した、信長の生涯をたどる一代記です。
板野博行さんの軽やかな語り口で、難しそうな史書もぐっと身近に感じられました。
読み進めるほどに「こんな人物、もう二度と現れない」と思わされるほどのエピソードの数々。
信長が“好きな武将No.1”とされる理由が、あらためてよくわかります。もちろん、信長を取り巻く家臣たちの個性も見逃せません。

興味を深いエピソード
  • 信長の傅役である平手政秀は信長のうつけ姿を見て、亡くなった信秀(信長の父)に申し訳なく思い切腹してしまう。信長は政秀のために政秀寺を建てる。
  • 家督を争った弟・信行を謀殺し、信行を討った池田恒興に信行の妻を娶らせる。二人の間に生まれた輝政は姫路城を築く。
  • 天下布武とは、「天下を武力によって制する」意味ではなく、「天下を『武家』が治める」と解釈するのが正しい。
  • 戦国三大梟雄の一人・松永久秀は、二度信長を裏切った。最期は名物の茶釜に火薬を詰めて爆死した。
  • 荒木村重は謀反を起こし、有岡城に籠城。使者として派遣された黒田官兵衛を土牢に幽閉してしまう。
本モス
本モス

特に印象的だった5つのエピソードを挙げてみましたが、どれも信長という人物の規格外ぶりを物語っています。
平手政秀の話からは、フリードリヒ大王の逸話を連想させる主従関係の深さがうかがえますし、松永久秀の“二度の裏切り”は、戦国という時代の苛烈さを象徴しているように思います。
信長を取り巻く出来事ひとつひとつが物語のようで、「信長公記」自体がまさに戦国群像劇そのものだと感じました。

南総里見八犬伝/平岩弓枝 文 佐多芳郎 画

「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」──八つの霊玉を宿す八犬士たちの活躍を描いた『南総里見八犬伝』。
滝沢馬琴の長大な原作を、平岩弓枝さんが現代語でぐっと読みやすく語り直しています。
正直、原作は人物も多くて名前も難しく、途中で迷子になりがちですが、この本は解説が要所に入り、挿絵も豊富でとても親切。
一気に読めて、しかも物語のスケール感も味わえる、八犬伝デビューにぴったりの作品でした。

  • 伏姫・・・里見の姫。八つの霊玉を生み出す
  • 八房・・・伏姫を慕う犬
  • 玉梓・・・里見義実に討たれた毒婦。怨霊となって里見家を呪う
  • 犬塚信乃・・・八犬士の一人。孝の玉を持つ
  • 浜路・・・信乃の許嫁。養父母に咎められても信乃を慕う
本モス
本モス

『南総里見八犬伝』の魅力は、なんといってもジェットコースターのような展開の早さと、わかりやすい勧善懲悪!
善人はどこまでも清らかに、悪人はとことん悪を貫く――その潔さが心地よく、読めば気分爽快です。
江戸時代に書かれたとは思えないほどテンポがよく、まるで時代劇を観ているよう。
そして何より、登場人物の多さに苦戦していた私にとって、平岩弓枝さんの現代語訳はまさに救世主でした。ありがとうございます。

科学的に証明された すごい習慣大百科/堀田秀吾

①仕事の効率化、②勉強、③ダイエット・健康、④コミュニケーション、⑤メンタル、⑥生活(くらし)の6つのカテゴリーについて、科学的に証明された習慣化のテクニックを112個紹介してくれる本。もちろん自分に合う、合わない。やってみたい、みたくないものがありますが、112個あれば、きっといくつかは有益な情報があるはずです。

試してみたい習慣化テクニック
  • まず動く・・・脳は一度行動をはじめると、のめり込んでしまう性質がある。だから、やる気スイッチが入るのを待つのでなく、動き出せば、どんどんやる気が加速していく
  • ボーッとする・・・ボーッとすると脳の血流っが均一になって、ひらめきやすくなる
  • 三人称を使う・・・嫌なことがあったら、三人称で自分を語って、自分を客観視し、コントロールする
本モス
本モス

これまで他のビジネス書や雑学書で知っていた内容もありましたが、こういった内容は改めて目にすることで、もう一度やってみようとモチベーションが上がる気がします。私も「まず動く」をやってみて、なるほどと効果を実感しているところです。

ゲーム理論入門の入門/鎌田雄一郎

ゲーム理論といえば「相手の出方をどう読むか」という、なんだか難しそうな学問を思い浮かべますが、この本はまさに“入門の入門”。数式を解かなくてもスラスラ読めるうえ、AKBのじゃんけん大会など身近な事例が取り上げられていて、とにかくわかりやすい一冊でした。

学んだポイント(抜粋)
  • ナッシュ均衡・・・「戦略的状況での行動=相手が何をするかに対するベストな反応」この式によって表される状態のこと
  • コミットメント・・・自らの手を縛るような行動。場合によっては有効となる

このような「自分は相手の出方を予想して意思決定するし、相手も自分の出方を予想して意思決定する」状況を戦略的状況という。ゲーム理論では、この戦略的状況をゲームと呼ぶ。この最も難しい意思決定問題「ゲーム」で何が起きるかを予測するのが、ゲーム理論の役目なのだ。

「ゲーム理論入門の入門」鎌田雄一郎、岩波新書 2019年 p8

本モス
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「囚人のジレンマ」くらいしか知らなかった私でも、するっと読み進められる一冊でした。実は4〜5年前にも読んでいたはずなのに、内容をほとんど覚えていなかったので再読して正解。巻末には次に読むべき入門書も紹介されていて、そろそろ本格的にステップアップしてみようかな…という気持ちになりました。

⇒ビジネス書に興味のある方はこちら

雨鱒の川/川上健一

学もお金もないけれど、絵の才能に恵まれた青年。耳が聴こえない少女。
不思議なことに、少女の言葉だけは青年にだけ届きます。
幼い頃から共に育った二人は、静かに想いを育んでいきますが、ある日、少女に縁談の話が持ち上がり……。
東北の澄んだ空気と川の流れを背景に、幼なじみ二人の純粋な心を描いた初恋小説です。

  • 心平・・・川で魚を捕ることと絵を描くことにしか興味がない。母を亡くし天涯孤独となる。
  • 小百合・・・造り酒屋の一人娘。耳が聴こえないが、心平とだけは心が通い合う。
本モス
本モス

おそらく10年ほど前に読んだ本。ふいに読みたくなって再読しました。とにかく東北の方言(半分もわからない)と川や自然の描写が瑞々しい。恋愛小説はあまり読まないけれど、とにかく清々しい気持ちになりたいときに読みたい本です。

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