今さらながらの古典入門―信長公記&名将言行録を読んでみた

学びの棚

最近すっかり古典と歴史に夢中になり、これまで遠巻きにしていた戦国時代の世界に足を踏み入れてみました。
まずは戦国武将たちの生きざまをまとめた『名将言行録』の解説本から読みはじめ、次に王道の『信長公記』へ。
読み進めるうちに、気づけば関連書にも次々と手を伸ばしてしまい、読むほどに深みにはまっていく日々です。

読めば100倍歴史が面白くなる 名将言行録/板野博行

「名将言行録」とは幕末の舘林藩士岡谷繁実が一六年の歳月をかけて完成させたもの。明治二年に刊行され、伊藤博文を感動させ、大隈重信に「不朽の真理を含蓄した書」と言われ、版を重ねました。戦国から江戸中期までの武士百九十二人の言行(逸話)を書き記した全七十巻の大作で、すべてを現代語訳したものはないそうです。本書はそのうち二十五人分のエッセンスを凝縮して紹介してくれています。

興味を持った武将
  • 蒲生氏郷・・・人質として差し出されたにもかかわらず、織田信長に才能を見抜かれる。元服の際には信長自ら烏帽子親になり、娘と結婚させた。
  • 島津義久・・・優秀な弟三人を率いて九州統一を目指した
  • 福島正則・・・敵に後ろは見せたくない「猪武者」
本モス
本モス

信長、秀吉、家康の三英傑はもちろんすごいのですが、それ以外の知らなかった武将に興味を持てました。この本でさらっと俯瞰して、気になった武将の歴史小説を読むと面白そうです。
また、この「名将言行録」をあの伊藤博文や大隈重信も読んで感動していたと思うと、感慨深いものがあります。

眠れないほどおもしろい信長公記/板野博行

「信長公記」は、信長の側近だった太田牛一が記した、信長の生涯をたどる一代記です。
板野博行さんの軽やかな語り口で、難しそうな史書もぐっと身近に感じられました。
読み進めるほどに「こんな人物、もう二度と現れない」と思わされるほどのエピソードの数々。
信長が“好きな武将No.1”とされる理由が、あらためてよくわかります。もちろん、信長を取り巻く家臣たちの個性も見逃せません。

興味深いエピソード
  • 信長の傅役である平手政秀は信長のうつけ姿を見て、亡くなった信秀(信長の父)に申し訳なく思い切腹してしまう。信長は政秀のために政秀寺を建てる。
  • 家督を争った弟・信行を謀殺し、信行を討った池田恒興に信行の妻を娶らせる。二人の間に生まれた輝政は姫路城を築く。
  • 天下布武とは、「天下を武力によって制する」意味ではなく、「天下を『武家』が治める」と解釈するのが正しい。
  • 戦国三大梟雄の一人・松永久秀は、二度信長を裏切った。最期は名物の茶釜に火薬を詰めて爆死した。
  • 荒木村重は謀反を起こし、有岡城に籠城。使者として派遣された黒田官兵衛を土牢に幽閉してしまう。
本モス
本モス

特に印象的だった5つのエピソードを挙げてみましたが、どれも信長という人物の規格外ぶりを物語っています。
平手政秀の話からは、フリードリヒ大王の逸話を連想させる主従関係の深さがうかがえますし、松永久秀の“二度の裏切り”は、戦国という時代の苛烈さを象徴しているように思います。
信長を取り巻く出来事ひとつひとつが物語のようで、「信長公記」自体がまさに戦国群像劇そのものだと感じました。

黒牢城/米澤穂信

荒木村重が立てこもった有岡城を舞台に巻き起こる事件を、幽閉された黒田官兵衛が解き明かす連作ミステリ。歴史小説でありミステリ小説でもある傑作です。

本モス
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歴史小説としてもミステリ小説としても傑作なのですが、土牢に幽閉されている描写が怖がりの私には恐ろしい。

じんかん/今村翔吾

主家を乗っ取り、将軍を暗殺し、東大寺大仏殿を焼き払う――世にいう「三悪」をやってのけた男、松永久秀。戦国の梟雄と呼ばれ、悪名高き武将として語られてきた彼の半生を、直木賞作家・今村翔吾が骨太の筆致で描いた歴史巨編です。悪人か、それとも時代の申し子か。固定観念を覆す久秀像に出会える一冊!

人間。同じ字でも「にんげん」と読めば一個の人を指す。今、宗慶が言った「じんかん」とは人と人が織りなす間。つまりはこの世という意である。

「じんかん」今村翔吾、講談社文庫 2024年 p127

本モス
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今村翔吾さんの『茜唄』と比べると、武士という存在の捉え方が対照的でした。松永久秀の出自からして、独創的でしたが、私のお気に入りは甚助です。

⇒「茜唄」に興味のある方はこちら

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